一般葬について④ 孤独死について
葬儀にかかわる周辺事情として「孤独死」について解説します。
高齢者のみならず、都市生活の若年者、壮年者の間でも、孤独死は増えています。
あまり取りざたされない「孤独死した場合の実際」についても概要をご紹介します。
ひとごとではない「孤独死」の現状
「孤独死」が年々、取り上げられるようになりました。
少子化が進み、子供が同居し介護などを同居でできない場合も増えています。
若い方でも、出生した地を離れて都会に出て一人暮らしをするのは、昔から珍しくありません。
ご高齢の方だけではなく、働き盛りから上の年代の方、みなにとって「孤独死」は考えておかなくてはならない問題になってきました。
平均寿命は上がっていて、長く生きられる世の中になりました。
しかし、その「生の質」が問われたとき、かならずしも「良い状況」ばかりではないのが現実です。
家の中で、おひとりで体調を崩されたりする場合に、もっとも多い「異変の発見者」は隣人です。
その次が、集合住宅の大家さんや管理人、その次が、家族です。
年齢層で、もっとも孤独死が多いのは、60代から70代です。
うんとお年を召した方ではなくても、孤独死はおきています。
男女比では男性のほうが多いです。
23区の統計を見ますと、年収の多さと孤独死には相関関係があり、平均年収が低い地区ほど孤独死が増えています。
経済的に不安な状況の中で、心身に十分なケアができないことが、孤独死の危険度を高めているといえましょう。
「孤独死」の防止策
一人でお住まいのご家族が遠くにいる場合は、見守りサービスや、まめに連絡をするといった気遣いが、孤独死を防止することにつながります。
毎日の電話をうっとうしがられても、家の中でけがや病気に見舞われていたときに、はやくみつけられた例はたくさんあります。
かかりつけのお医者さんを作っておくのも、いざと言うときには役に立ちます。
警備会社のサービスや、通信サービス会社の、連絡先登録サービスも検討の余地があります。
また、地方自治体によっては、連絡先を登録しておくサービスがあります。
ご近所でも、お互いにご近所に興味を持つことで、不慮の事態を防ぐこともできましょう。
だれにでもいつかはやってくる「この世とのお別れ」の観点から、できることを考えて見ましょう。
経済の不安も含め、葬儀に関する不安もふくめ、どうにもならなくなる前に行政に相談するのは、ひとつの方法と言えましょう。
使える救済措置は使うのが、よりよい方策といえましょう。
ご自分の死後の葬儀に不安がある場合の相談先は、市区町村の福祉課です。
なにも問題がないうちにきいておくのも、生活の安心を増す方法です。
あまり考えたくないものですが、「看取られない死」も考えておかなければならないご時世になってきたといえましょう。
孤独死した場合の実際
発見~検視
「孤独死」の場合、なくなられてから少しして見つかることがほとんどです。
天涯孤独ではなく、ご家族がいらっしゃった場合でも、そこから、通常の「通夜」「葬儀」の手順を踏むのは難しいです。
事件性が特にない「孤独死」についてですと、まずは、ご近所の方からの警察への通報が始まりになります。
窓が昼夜開け放しだったり、新聞がたまっていたりと言った、なにげなく見えるもので見つかることもあります。
(この段階でご無事なうちに見つかる場合もあります)
他には、お弁当の配達サービスが受け取られていない、洗濯物がそのままになっているなどもあります。
水道会社が水道代金の異状で見つけることもあります。
その他には、害虫がたくさんいる(これはかなり時間がたってしまった場合です)などもあります。
通報が入りますと、警察官と住宅の管理者が入ります。
保証人や鍵の業者も、必要であれば呼ばれます。
確認してなくなられていた場合、まずは「事故」扱いになります。
「現場検証」になり検視が行われます。
このときは、住宅の管理者はいちど帰されます。
その後、「家宅捜索」が行われます。
ここで部屋の中の故人の金品、印鑑、預金通帳などは、事実がはっきりするまで没収扱いになります。
その後、「検視」が行われ、事件性の有無がはっきりされます。
ご遺体の状態が良くない場合は、DNA鑑定で本人確認がされます。
この鑑定には、2週間くらいかかります。
この現場検証と検視ですが、かかりつけのお医者さんがあった場合で、状況や事実関係が明確な場合、検視がはぶかれる場合もあります。
ご家族がいて、お部屋で体調を崩され、なくなられた場合も同様です。
ふだんからの事情がわかっているという事が重要です。
遺族に連絡~火葬
ここまでが済んだ上で、ご遺族に連絡が入ります。
連絡が入る順序は、血縁関係の濃い順序です。
全体のうち、1/3はご遺族がみつかりません。
その場合は、その先の手続きは行政に託されます。
受け取り拒否ですと、そこから、やはり行政にまかされます。
見つかったうちの半分の方はご遺体の引き取りがあります。
そこから、DNA鑑定の終了を待って、葬儀や、遺品などの整理になります。
鑑定の終了までは、ご遺体は専用の施設で冷蔵で保管されます。
問題がなければ、ご遺族に警察から状況説明があり、預かられていた金品ひとそろいが返却されます。
故人が住んでいた集合住宅の管理先と、ご遺体を保管している葬儀会社の連絡先を知らされます。
「孤独死」された場合は、なくなった現地で、火葬になる場合がほとんどです。
搬送費用が膨大ですので、そのまま運ぶのはおすすめできません。
生地やご家族のすまいが遠い場合は、お骨になってから本拠地に帰られ、「本葬」を行うことが多いです。
なくなった自治体から、費用の補助がありますので、利用するに越したことはありません。
住民票がある地区ですと無料または低料金のプランが用意されている場合もあります。
突然のことにご遺族の心労はとても多いですし、遠くからなどでなれない場所での手続きなどが増えます。
葬儀に関して、まずは出来る範囲ですませ、落ち着いてから考えるのも、現実的な対策でしょう。
葬儀の手配と同時に、諸般の書類手続き、遺品整理や相続問題、孤独死されたお部屋の清掃など、たくさんの実務におわれることになります。
だれが面倒を見るべきか
賃貸の部屋で「孤独死」が出た場合、だれが葬儀や遺品整理などの費用を負担しなければいけないのでしょうか。
まず第一には、「連帯保証人」です。
賃貸の入居時に連帯保証人がいた場合、孤独死という結果に対して、責任があると判断されます。
つくづく、断りきれなくて、ですとか、大丈夫だろうという見込みで、保証人になるのは避けたいものですね。
次に見込まれるのが「相続人」です。
連帯保証人に連絡がとれず、どこにいるか不明な場合は、相続人が後始末をする責任があるとみなされます。
いわゆる「マイナスの遺産」です。
放棄する場合は「プラスの遺産」も放棄しなければなりません。
何人かの「相続人」がいる場合は、わけて費用を負担します。
実際的には、相続したものを売って費用にあてたいところですが、充当できない場合も多いです。
実際、ご遺族が、ご遺体の引き取りを拒否なさり、遺産を放棄したことで、行政に任せられるケースはあります。
「連帯保証人」も「相続人」も無理な場合、部屋の所有者が、孤独死の後始末をせざるをえません。
つまり、大家さんや管理会社です。
事前に備えておきましょう
「孤独死」はしたくはないものですが、葬儀のことや後のことまで自分で決めておけば、最悪の事態が起こったときでも、残された方の労力を最小限に抑えることはできます。
離れてお住まいのご家族がいらっしゃる場合、葬儀を含めた亡くなられた後について、話し合ってみるのはおすすめの対策です。
各連絡先などをノートにまとめて、すぐにわかる場所や、ご家族の下に置いておきましょう。
孤独死ではなく、よい形で人生の最期を迎えられた場合にも、プランが決まっていれば希望に沿ったお別れができます。
事務手続きや実際的なことについてもですが、離れて暮らしているご家族の場合、「故人の人間関係が全くわからない」で困ることは良くあります。
「葬儀に来て欲しい方」「すぐになくなった連絡はして欲しい方」「後ほど連絡をして欲しい方」のリストをあらかじめ作っておくのは、とても役に立ちます。
趣味の品物をどうしてほしいかなどもあるに越したことはないでしょう。
そういうものを管理処分してくれる友人数人に、話を通しておくと、ご遺族の手間はとてもはぶけます。
行政書士で、「死後事務委任契約」を提案している事務所もあります。
亡くなった後の事務手続きについて、請け負うものです。
相続の手続きや、遺言書の執行とはまた別件になりますが、契約しておくと、だれも手を付けずに放置されることはなくなります。
検討してみるのもよい選択の一つでしょう。
この記事を書いた人
古橋 篤(ふるはし あつし)
チームで支えるお葬式
数年前に父を亡くした時、東京葬儀にお葬式を依頼しました。
その時の担当プランナーに助けてもらったこと、東京葬儀の想いに共感したこともあって、今の自分がいます。
自身の経験から、お客様の負担、不安を取り除き、最後のお別れに想いを向けていただけるよう心がけております。
お客様の声をよく聞き、その想いを実現することが私の仕事だと考えます。
心に残ったこと
自分が育成したプランナーがご家族から「ありがとう」と言われている姿を見たときです。
しっかりとご家族とコミュニケーションをとり、提案し、一緒にひとつのお葬式を創り上げている姿をみたときは東京葬儀の想いが受け継がれていると嬉しい気持ちになりました。
出身:東京都
趣味:バレーボール、料理
好きな映画:「リトルダンサー」
好きな音楽:クラシック