棺に「入れていいもの」と「絶対ダメなもの」
「棺に○○を入れてあげたい」
そういった想いで棺に入れる故人様の愛用品やお好きだった食べ物を副葬品(ふくそうひん)といいます。
ピラミッドや古墳からも多くの副葬品が見つかっているように、最愛の人を亡くした際に湧いてくる、自然の感情ではないでしょうか?
そこで、現代の「火葬」制度を踏まえ、棺に「入れていいもの」と「ダメなもの」を解説します。
わかりやすくするために、まずは「入れてはダメなもの」から。
「入れてはダメ」には理由がある
「入れてはダメ」には、主に下記のような理由があります。
・火葬設備故障の原因となるため
・公害発生の原因となるため
・燃焼の妨げになるため
・遺骨損傷の原因となるため
・宗教的・文化的・俗説的・迷信的なもの
順に、少し具体的に解説していきます。
【火葬設備故障の原因となるため】
◇カーボン製品(杖、釣り竿、ゴルフクラブ、ラケット、市内、義肢装具など)
カーボン製品は燃えにくく、かつ軽量のため、火葬炉に設置されている換気扇がそのまま吸い込んでしまいます。
換気扇が故障→火葬炉が緊急停止→火葬が出来なくなってしまいます。
設備の故障は、該当ご家族だけでなく、後に火葬を待たれている方々にもご迷惑をお掛けすることになりますので、カーボン製品を入れることは絶対にやめましょう。
【公害発生の原因となるため】
◇ビニール製品(ハンドバック、靴、玩具など)
◇化学合成繊維製品(衣類、寝具、敷物など)
◇発砲スチロール製品(枕、緩衝材パッキンなど)
◇その他(CD、ゴルフボールなど)
火葬場にも当然排気システムが設置されていますが、排気を完全にキレイにすることは難しいようです。
「飛ぶ鳥跡を濁さず」ではないですが、悲しみの中にも環境への配慮ができたらいいですね。
【燃焼の妨げになるため】
◇大きな果物(スイカ、メロンなど)
◇飲み物(大きな紙パック商品など)
◇厚い本(辞書、アルバムなど)
◇大型繊維製品(大きなぬいぐるみなど)
上の2つは燃焼の妨げとなり、下の二つは燃え残ってしまうと同時に、火が完全に消えるまで時間を要するので、いずれも火葬にかかる時間をいたずらに延ばしてしまいます。
【遺骨損傷の原因となるため】
◇金属製品(携帯電話類、携帯音楽プレイヤー、仏像など)
◇ガラス製品(酒瓶、鏡、食器類など)
◇爆発物(缶飲料、化粧品スプレー、ライター、電池類など)
上の2つは、燃え残ると同時に、溶けて遺骨に付着してしまいます。
爆発物は、火葬中に爆発して遺骨を粉々に吹き飛ばしてしまいますし、火災や設備の故障などの重大事故にもつながりかねません。
以上、
「入れてはダメなもの」を解説してきましたが・・・
判断が一番難しいのが
【宗教的・文化的・俗説的・迷信的なもの】
ではないでしょうか?
これは難しいので、最後にしましょう(笑)
こんなの入れた人も…

では、「入れていいもの」は?
一言で言うと「上記以外はなんでも入れていい」になります。
代表的なものとして
◇お花
◇衣類
◇食べ物(燃えやすい容器に入れて少量)
◇お酒(紙パックのものや、燃えやすい容器に入れて少量)
◇タバコ
◇本(薄いものや文庫本)
◇折り紙、お手紙、寄せ書き
ここ数年、ゴルフクラブや釣り竿など「趣味の道具」を入れてあげたい、と希望される方が増えています。
「でも、それは入れてはダメなもの(=カーボン製品)でしょ?」
という方、ご安心ください。
最近は副葬品用の木製「ゴルフクラブ」や「釣り竿」、「晩酌セット」まで販売されています(笑)
葬儀社によっては用意してもらえるかもしれません。
ぜひ相談してみてください。
「愛読書が厚いものなんだけど、これは入れてはダメなものでしょ?」
という方、ご安心ください。
燃えにくいものは、例えば、ページを複数個所折り込んで燃えやすくするなど、工夫すれば大丈夫です。
葬儀社によっては良い知恵を授けてくれるかもしれませんので、相談してみてください。
「腕時計や指輪は?入れてはダメなものでしょ?」
これは、棺の中には入れられません。
ですが、腕時計くらいの大きさであれば、火葬後に遺骨と一緒に骨壺に入れるという方法もあります。
これも葬儀社によっては対応してもらえるかもしれないので、相談してみてください。
「メガネは?入れ歯は?」
これも、棺の中には入れられません。
火葬後に遺骨と一緒に骨壺に入れるという方法もあります。
さてさて、このあたりから判断が難しい【宗教的・文化的・俗説的・迷信的なもの】になってきましたね・・・。
「メガネは?入れ歯は?」
説1:天国に行っても困らないように、骨壺に入れた方が良い
説2:天国に行ったら体の悪かったところが治るから、入れる必要はない
「家族や友人との写真は?」
説1:天国でも寂しくないように、入れた方が良い
説2:一緒に写っている人を連れて行ってしまうから、入れない方が良い
説3:一緒に連れていかれないよう、代わりに写真を入れた方が良い
説4:ペットとの写真であれば、入れても良い
説5:四肢動物は穢(けが)れとされているので、ペットとの写真は入れない方が良い
「お金は?」
説:天国でお金に困らないように、入れた方が良い
説:天国ではお金は必要ないから、入れる必要はない
説:三途の川の渡し賃として必要だから、入れた方が良い
説:三途の川は船で渡るものではないから、入れる必要はない
説:三途の川の渡し賃は六文と言われているけど、六文なんてないから代わりに10円玉を6枚入れた方が良い、でも遺骨に付着しちゃうから・・・
説:硬貨は入れてはダメだから、お札を入れた方が良い
こんなの入れた人も…

まとめ
明確な理由があって、棺の中に「入れてはダメなもの」は、ご理解いただけたでしょうか?
「ダメなもの」以外は、「入れていいもの」と考えていただいて大丈夫です。
判断が一番難しいのが
【宗教的・文化的・俗説的・迷信的なもの】
いろいろな地域で、さまざまな宗教者のお話を聞きながら、多くのご家族のお葬式をお手伝いさせていただきましたが、本当に「諸説」あります(笑)
その中で、僕なりに出した答えで、ご家族にオススメしているのは
「最愛の人が喜ぶことをしてあげれば、それが正解」
「最愛の人にしてあげたいことをすれば、それが正解」
大酒飲みのおじい様の棺に、お酒を一升瓶分、すべて入れてさしあげるお葬式もありました。
勉強家のお父様の棺に、辞書を破って入れてさしあげるお葬式もありました。
寂しがり屋のお母様の棺を、大好きなキティちゃんのぬいぐるみでいっぱいにしたお葬式もありました。
いずれのご家族も、お葬式の後には「入れてあげて良かった」とおっしゃっていたのが印象的です。
副葬品について、ご不明点がありましたら、
当ブログを運営している東京葬儀【0120-493-096】までご連絡ください。
専門のスタッフがご対応させて頂きます。
相談だけでも構いませんので、お気軽にお問い合わせください。
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この記事を書いた人
古橋 篤(ふるはし あつし)
古橋は「なぜ葬儀屋に?!」プロフィールはコチラ