故人の想いを実現させるには?~理想の葬儀と残された人に出来ること~
大切な人が亡くなったとき、出来る限り、故人の想いを実現させてあげたいと思うことでしょう。
けれど、生前、その人が一体何を、どのように考えていたかわかりますか?
死んだときの話をしていたとしても、詳細は意外にもわからないことが多いのです。
故人の想いを知るために必要なエンディングノートや遺言書などについてご紹介いたします。
エンディングノートとは?
エンディングノートという言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?エンディングノートとは、終活の1つで、自分についてのいくつかの情報記載するノートのことです。
このノートの中身は、主に下記の内容を記載します。
【自分の基本情報】
名前や生年月日、血液型、住所、現在、患っている病気とかかりつけの病院について
【自分史】
家族との思い出、学歴・職歴などの経歴、幼少期から今までの思い出、結婚している場合は配偶者との思い出、子どもがいる場合は、子どもとの思い出、これまでに住んだ家や場所について
【親戚・友人・知人リスト】
友人関係や親類関係、またその連絡先について
【私的財産】
銀行の口座やカード、預貯金や株式、不動産、金融資産や有価証券、借入金やローンについて
【保険・私的年金】
自分の入っている生命保険や損害・傷害保険、個人年金や企業年金などについて
【ペットの基本情報(ペットを飼っている場合のみ)】
名前や性別、かかりつけの獣医、ペット保険の加入の有無、飼育上の注意、ペットが寿命を迎えたときの対応、自分に何かあったときにペットをどうしてほしいかなどについて
【介護・告知・延命治療・献体】
介護が必要になった場合、どうしてほしいかや資産管理をお願いしたい人、介護のための費用について
【葬儀・法要】
葬儀の実施について(たとえば、葬儀社や会場、また会場の規模、喪主は誰にお願いしたいか、葬儀の費用、宗教・宗派、戒名・法名、など)
【お墓】
霊園・墓地(購入の有無も含む)、埋葬方法について
【形見分けや遺品整理】
どんな風に形見分けをしてほしいか、遺品の整理や遺品の個別対応リスト、処分品リストなどについて
【携帯電話や会員サービス、アカウント】
加入している携帯電話、パソコンのプロバイダ、その他の会員サービスやWEBサービスについて、またそれらのサービスの解約、メールやSNSなどのアカウントやパスワード、パソコンのデータ処理の方法などについて
【遺言書】
遺言書の有無や遺産分割はどうしてほしいか、またそれに伴う依頼先や相談先がある場合はそのリストなどについて
【メッセージ】
大切な人それぞれに向けたメッセージ
このように、エンディングノートには、たくさんの項目があります。
そして、その一つ一つはどれも「もしものとき」に役立つことなのです。
エンディングノートの必要性
「エンディングノートとは?」でもご説明した通り、エンディングノートには自分に関わるさまざまなことを記載します。
そのため、エンディングノートを書くことには、大きく分けて、4つの利点があるのです。
【その1】自分にもしものことがあったときのために、遺された家族が困らない
【その2】日頃、伝えておきたいと思っても、なかなか言えない大切なことや感謝の気持ちを伝えられる
【その3】入院したときに困らない(亡くなったときとは違うエンディングノートの別の有効性)
【その4】自分の人生を振り返り、見つめ直すことが出来る
このように、エンディングノートには、亡くなったときだけでなく、生きている間でも活用出来るシーンがあります。
エンディングノートのメリット
ですが、いざ書くとなると、どうすればいいかわからない方も多いのではないでしょうか?
エンディングノートの良いところは、好きなところから書いて良いというところです。
自分の書きやすいところから埋めていけば良いので、文章を書くことが苦手な方でも簡単に始めることか出来ます。
また、穴埋め形式のものやチェック形式のものも販売されているので、簡易的に残したい方にはオススメです。
しかし、忘れてはならないのは、エンディングノートには、遺言書のような法的拘束力がないということです。
そのため、細かい決まり事などはなく、だいたいの項目は決まってはいるものの、ノートによって、記載出来る項目も変わってきます。
ですから、自分にあったエンディングノートを購入・入手すると良いでしょう。エンディングノートは、インターネットや書店で購入することも出来ますし、インターネットから無料でダウンロードすることも出来ます。
また、葬儀社によっては、配布しているところもあります。
このように、簡単に手に入れることが出来るので、すぐに書き始められるという手軽さも終活の第一歩として、エンディングノートが挙げられる理由の1つであるのです。
エンディングノートは、自分が亡くなったとき、遺された人たちに向けたメッセージを伝えるためのノートです。
自分の意思表示をすることも出来ますし、伝えたいことも伝えられます。
従って、故人の想いを実現させるには、エンディングノートは有効だと言えるでしょう。
遺言書とエンディングノートの違いとは?
エンディングノートには、法的拘束力がないというのは、上記でご説明した通りです。
しかし、これ以外にも遺言書とは異なる点がいくつか存在します。
多くの方が知っているように、遺言書には法的拘束力があります。
また、遺言書を書いた本人の死後、自由に開封することは出来ません。
封印のある遺言書を開封するためには、家庭裁判所において相続人、またはその代理人の立ち会いが必要です。
まず、遺言書を開封するには、民法1004条にあるように「検認」をしなければなりません。
これは「遺言書に書かれている内容を裁判所で明確にすること」、また「開封された後の偽装や変造を防ぐこと」の2つのことを目的としています。
仮に誰かが遺言書を勝手に開封した場合は、5万円以下の過料になりますので、注意が必要です。
また、エンディングノートとの大きな違いは、遺言書には遺産相続の手続きをすることが出来るということです。
エンディングノートにも遺産相続について記載をすることは可能ですが、上記の通り、法的拘束力がないため、故人の思った通りにすることが出来ないことがあります。
遺産相続をしっかりしたい場合は、必ず遺言書を用意しておきましょう。
しかしながら、遺言書には、医療や介護について書くことは出来ません。
これはエンディングノートだけに書くことが出来るので、希望がある方は、エンディングノートにしっかり書く必要があります。
また、遺言書には生前についての希望も書くことは出来ません。
ですが、共通して書けることもあります。
それは遺された人へのメッセージです。
しかし、基本的に遺言書は相続について書くものですので、たくさんの人にメッセージを送りたい場合は、エンディングノートに記載すると良いでしょう。
ただエンディングノートは誰でも自由に見ることが出来てしまうため、個人的に伝えたいことがあったり、他の人に見られるのが恥ずかしかったりする場合は、相続について記載した遺言書以外に、遺された人宛ての遺言書を作成しておくと良いでしょう。
まとめ
このように、遺言書には、法的拘束力があるため、エンディングノートでカバーしきれない面を補うことが出来ます。
ですから、大切な人のためにもエンディングノートと遺言書の両方を用意しておくのがオススメです。
遺された人は、故人の想いを出来る限り、実現させたいと思うことでしょう。
ですから、自分だけのためではなく、遺された人たちのためにも、エンディングノートと遺言書の両方を用意しておくと良いでしょう。
この記事を書いた人
齋藤 親(さいとう しん)
お葬式は家族を知る場面
数年前、祖母が亡くなった時、普段仕事ばかりしている母が、祖母に対し心から感謝の言葉を伝えていたこと。
今まで涙を見せることのなかった兄が人目を気にせず泣いていたこと。
家族の中でも様々な想いがあることを知りました。
そのときの気持ちを忘れずに、ご家族一人一人を、笑顔にできるよう心がけております。
心に残ったこと
お父様のお葬式を終えたご家族が「たくさんの人からお父さんの話を聞けて、色んなお父さんを知ることができました。
家族葬か一般葬で悩んでいましたが、私たちの話を聞いて、一般葬をオススメしてくれた齋藤さんのおかげです」と言っていただけたことが心に残っています。
出身:茨城県つくば市
趣味:釣り、ボルダリング
好きな映画:「天空の城ラピュタ」
好きな音楽:山崎まさよし