【保存版】「一日葬」とは?一日葬を選ぶ前に知っておくポイント
近年、都市部を中心に葬儀の小規模化が進んでいます。
「一日葬」という言葉をインターネット上で見かけることも多くなりましたね。
さて皆さんは、「一日葬」と聞いてどのようなお葬式をイメージされるでしょうか。
「一日ということは、儀式もだいぶ簡略化されているんだろうな」
「費用も半額に抑えられるんじゃないの?」
そんなふうに考える方が多いのですが、実は全体的な流れは一般的なお葬式と大差がなく、葬儀費用もそれほど節約できる訳ではありません。
もし一日葬を検討されるなら、一日葬とは何なのか、どんな形式のお葬式なのかを理解することが大切です。
この記事を読んで、自分の家族に合ったお見送り方法を見つけましょう。
一日葬ってどんなお葬式?
「一日葬」は、「通夜」は行わずに、「葬儀」「告別式」から「火葬」までを一日で済ませるお葬式の形式です。
希望する方の事情としては、「火葬のみではそっけなさすぎて寂しいけれど、規模のある葬儀を行うのが難しい」という状況で選択される方が多いです。
スケジュールの問題で一日ですべて収めたい場合にも選ばれます。
一般的にお葬式は、逝去後、通夜→葬儀告別式→火葬の流れで執り行います。
この流れから通夜を省略した形式が「一日葬」です。
誤解されることも多いですが通夜を執り行わない以外に、実は一般的なお葬式と大きな違いはありません。
この一日葬は、近親者のみで執り行う「家族葬」が主流となりつつある中で、お葬式の新しいスタイルとして人気が高まってきています。
知っておきたい一日葬のメリット
一日葬を希望する家族は年々増加しています。
なぜ、一日葬の需要が高まったのか、その理由を解説していきます。
① コストパフォーマンスが良い
通夜を行わない為、「通夜振る舞い(通夜に振舞われるお料理)」などのおもてなし費用を削減する事ができます。
また、2日間の葬儀を行う場合より一般の会葬者が減る傾向にあるため、返礼品の数が少なく済む可能性があります。
ご家族のみで行う場合、お返し物を用意しない方も少なくありません。
式場にもよりますが、使用料などが割引になるケースもあります。
お坊さんを葬儀社に紹介してもらう場合、葬儀社によっては、読経費用が少なく済むこともあるようです。
ただし、通夜振る舞いがかからないこと以外は不確定要素であり、「費用が削減できるかもしれない」という程度です。
冒頭でも書いた通り、大きく費用が節約できるわけではありません。
また葬儀社によって「一日葬」の提案内容も異なりますので、詳しく調べる必要がありますね。
② ご家族や参列者の身体的負担を抑えられる
遺族に高齢の方が多い場合や、身体的な事情がある場合など、通夜・告別式を2日間続けて参加することが難しいケースがあります。
参列者はごく近いゆかりのある方になることが多いですから、対応する精神的負担も同時に軽減されますね。
また、遠方から参列する親族がいる場合には、宿泊施設を利用しなければならないこともあります。
そういった負担を軽減できることも、一日葬の利点の1つではないでしょうか。
家族だけではなく親族の状況も把握して、皆が納得できるお葬式を心がけましょう。
③ お葬式にかかる時間の拘束が少ない
遺族が多忙な為、一日葬が選ばれることもあります。
仕事などの都合により遺族・親族間のスケジュールが合わず、一日ですべて収めたい場合にも有効な手段です。
④ お別れの時間を確保できる
一日葬を行う場合、「直葬」よりもゆっくりとお別れの時間を取ることができます。
「直葬」は、基本的に亡くなった場所からご自宅や斎場などを経由しないで、火葬場へご遺体を搬送して火葬する段取りです。
安置施設によっては、当日までの間に、面会してお別れをすることは考えられていない施設もあります。
そのため、十分なお別れが出来ずに、火葬の日を迎えることも考えられます。
そんな中で、一日葬の場合はお葬式の内容を省略しながらも、十分なお別れ時間を確保することができます。
特に、自宅での安置が可能な場合は、通夜に当たる時間に住んでいらした場所で家族だけでゆっくりとお別れができます。
「自宅安置+一日葬」はこの点で優れているといえるでしょう。
一度は自宅に帰ってきて欲しいと思う方は、できる限り自宅でお休みになれる様に検討してみてはいかがでしょうか。
一日葬のデメリット
一日葬を行うにあたり、意外と大きなハードルになるのが親族の反対です。
一日葬でお葬式を行うことを決定する前に、親族にもできる限り話を通して置きましょう。
お葬式は、故人を悼む遺族や親族の気持ちがぶつかり合い、トラブルになりやすいときでもあります。
「決めたから」と言うことではなく、事前に一日葬を希望する理由を周囲に伝えることがトラブル回避に繋がります。
また親族だけでなく、関わる方の理解を得ておくことも大切です。
ただ、お葬式でもっとも優先されるべきものは、故人の遺志や希望、また故人にもっとも近い、喪主を中心とする遺族の意見です。
最終的に遺族の気持ちがもっとも安らかでいられる選択をできるのが理想ではないでしょうか。
一日葬を検討する際は、家族間でよく話し合うことが大切ですね。
注意点① 要注意!お付き合いのあるお坊さんがいる場合
非常に重要なポイントとしては、一日だからと言って、お坊さんに支払うすべての費用が半分になるわけではないことです。
宗教者への「お布施、お礼」は減額にはなりません。
お布施は「戒名」に関わるもので、「読経料」ではないことを理解しておきましょう。
また、故人がお寺の檀家である場合は、一日葬を断られるケースがあります。
仏式でのお葬式の場合、通夜・葬儀告別式・初七日の流れにそれぞれの意味があります。
通夜を省略してしまうことで、必要な儀式が疎かになってしまうのは、お坊さんの考えに反してしまうのです。
一日葬を希望する際は、必ず菩提寺(付き合いのあるお坊さん)に相談をしましょう。
事前に相談しておくことでトラブルの防止にもなります。
菩提寺と檀家の関係をしっかりと理解しておくことが大切ですね。
また、経済的な事情がある場合にも同じことが言えます。
菩提寺と相談しながら、お葬式のプランを決めましょう。
注意点② 参列者の人数が読めない可能性
まず、「多数の参列が予想される」場合には、「一日葬」は向きません。
1日にすべてを収めるため、参列者が多いと慌ただしいお葬式になってしまいます。
満足にお別れを済ませることができないと、何のためにお葬式をしているのかわからなくなってしまいますよね。
これは、あらかじめどこまでの人に訃報を伝えるのか決めておけば、大きな問題にはなりません。
通知をするときは必ず一日葬であることを伝えておくことが、トラブル防止にもつながります。
また、仕事の都合などで参列できなかった方は、お葬式後に弔問に来ることが多いです。
一日葬の場合、お葬式が終わった後に自宅に弔問客が来ることを想定しておくことが大切です。
追記となりますが、お香典は頂戴して差し支えありません。
辞退するケースありますが、その場合は香典や供物を辞退することを記載した「会葬礼状」を用意してもらえるよう、葬儀社にお願いしましょう。
一日葬の新しいカタチ
お葬式の形式が多様化する中で、東京葬儀では「一日葬」を利用した新しいお葬式を執り行うことができます。
例えば、1日目の通夜に当たる日を家族のための自由な形式で行い、2日目の告別式は儀礼に習った厳粛なお葬式を執り行うという方法です。
下記に実例を紹介していきます。
1日目:お通夜にあたる日
ポイント
・お坊さんを呼ばない無宗教なお葬式
・友人や会社関係、近所の知人を呼ぶ
目的としては、「自由に過ごすこと」です。
想い出のスライドショーを上映したり、生演奏や故人への手紙の拝読などのその人らしいお葬式を行ことができます。
近しい人達で思い出話に花を咲かせるような、あたたかいお見送りができますね。
2日目:告別式にあたる日
ポイント
・お坊さんを呼ぶ厳粛なお葬式
・儀礼に則り、風習やしきたりを重んじた格式のあるお葬式
お坊さんによる読経から、参列者からの焼香などを行い一般的に皆様にもなじみのある方法でお葬式を執り行います。
自由すぎるお葬式は、周囲からの同意を求めることが難しい場合があります。
しきたりも、家族への想いも大切にしたいという方は、検討してみてはいかがでしょうか。
時代とともに、お葬式の形式は変化していきます。
一日葬は、風習やしきたりを大事にしながらも、故人らしい自由なお葬式にしたい方におすすめです。
一日葬に向いている斎場とは
「一日葬」は費用の軽減を主眼に置いたプランではありませんが、民営の斎場よりも公営の斎場のほうが、会場費を削減したい場合は向いています。
スケジュールによっては、細かい時間貸しをしている、市民集会場、区民集会場のなかで、葬儀にも使える会館が候補に入ってきます。
一軒を貸し切りにする家族葬専用斎場などの特化したこだわりがある斎場は、一日葬では使いにくいでしょう。
身体的な負担を軽減が主目的の場合は、バリアフリーに配慮されているところや、受付がロビーのなかにあるところが良いです。
特に夏や冬の弔問は、高齢者や体が強くない方にはこたえます。
また、休憩室が座敷ですと、ひざや腰のよくない方は大変ですよね。
和室の場合、座椅子などを調達できるかどうかも、葬儀会社の担当者に聞いてみましょう。
家族で式場を探すのは、難しいものです。
葬儀社に自分の希望をしっかりと伝えれば、必ず力になってくれます。
信頼のできる葬儀社を選びましょう。
東京葬儀プランナーが語る一日葬
実際に担当したプランナーが語る一日葬や、ご家族様の声です。
是非、ご参考にしてください。
まとめ
お葬式は、家族を取り巻く状況によって、様々な形式が考えられます。
前日に近しい人たちで集まって想い出話しに花を咲かせ、当日はお坊さんを招き厳粛な儀式をする。
一日葬だからこそ、そんな新しいカタチのお葬式も可能になります。
お葬式は故人を中心に様々な方が想いを寄せて集まる大切な日です。
家族をどんなふうに送り出したいのか、事前にしっかり考えておきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この記事を書いた人
齋藤 親(さいとう しん)
お葬式は家族を知る場面
数年前、祖母が亡くなった時、普段仕事ばかりしている母が、祖母に対し心から感謝の言葉を伝えていたこと。
今まで涙を見せることのなかった兄が人目を気にせず泣いていたこと。
家族の中でも様々な想いがあることを知りました。
そのときの気持ちを忘れずに、ご家族一人一人を、笑顔にできるよう心がけております。
心に残ったこと
お父様のお葬式を終えたご家族が「たくさんの人からお父さんの話を聞けて、色んなお父さんを知ることができました。
家族葬か一般葬で悩んでいましたが、私たちの話を聞いて、一般葬をオススメしてくれた齋藤さんのおかげです」と言っていただけたことが心に残っています。
出身:茨城県つくば市
趣味:釣り、ボルダリング
好きな映画:「天空の城ラピュタ」
好きな音楽:山崎まさよし